【さがみはらロボット導入支援センター】ロボット活用先進事例を紹介します!(第一食品)

【さがみはらロボット導入支援センター】ロボット活用先進事例を紹介します!(第一食品)

株式会社第一食品(本社:大阪府東大阪市、以下第一食品)は、1972年の創業以来、安心・安全を第一に徹底した衛生管理で委託給食、弁当給食、食品製造等の給食サービスを提供している。
中でも、完全院外調理は2000年に第一食品が全国初のサービスとして提供を開始、現在は関西圏を中心に全国4か所のセントラルキッチンでサービスを提供している。

2021年7月に神奈川県相模原市に相模原工場を開設。関東では初となる、完全院外調理のセントラルキッチンを稼働させた。
2023年6月には、パナソニック コネクト株式会社(本社:東京都中央区、以下パナソニックコネクト)とともに完全院外調理の拡大に向け、両社で開発したトレイメイク自動化システムを第一食品 相模原工場にて稼働させた。

第一食品 相模原工場 工場長 中井保誌氏と、営業推進部 係長 藤井智仁氏に取材に応じていただきました。

藤井智仁氏と中井保誌氏が横並びに座っている写真
藤井智仁氏(左)と中井保誌氏(右)

「完全院外調理システム」とはどのようなものでしょうか?

患者さん一人ひとりに合わせた食事を、病院外のセントラルキッチンで調理し、一つのトレイで配膳するシステムです。
患者さんの手元に届くまでの時間は、HACCP準拠の「クックチル方式」と呼ばれる調理方法と最新の物流技術を組み合わせることで徹底的に管理されており、できたてに近い状態で、決められた時間に提供することができます。

患者さんにとっては、おいしい食事がおいしい温度で時間通りに届き、病院にとっては、最小限の人材や厨房設備で給食の提供が可能となります。
まさに人手不足が叫ばれる現代の厨房運営のソリューションといえるでしょう。

一般的な病院給食と完全院外調理の違い
完全院外調理サービス概略 出典:第一食品

特に、トレイメイクは難易度が高いと伺いましたが、どのように工夫されているのでしょうか?

トレイへの誤配膳は食事をとられた患者さんの病状の悪化に繋がる可能性があります。トレイメイク(お盆=トレイにお皿や小鉢等をセットする工程)はミスの許されない作業で、非常に難しい工程になります。

病院給食は患者さんの病態やアレルギーに合わせて非常に細かく栄養管理されています。そのため、提供される食事の組み合わせは多種多様で、約1億通りの組み合わせが存在します。この複雑さがトレイメイクの難易度を非常に高くしています。

さらに、セントラルキッチンで数千人分の食事を短時間で生産することから、多数のスタッフが必要です。そして、そのスタッフを適切に育成することも課題となっていました。

トレイの上に様々な食事を載せている様子の写真
トレイメイク配膳作業

そこで、トレイメイク自動化システムを導入したのですね?

はい、「トレイメイク自動化システム」は、トレイメイク作業の平易化と省人化を実現するためのシステムです。これまで、トレイメイク作業は約14名のスタッフで行っていましたが、このシステムを導入したことで、4名ほどで運用が可能になりました。

従来はスタッフの育成に2年間以上かかっていましたが、トレイメイク自動化システムを導入したことで、わずか1週間程度で業務を行えるようになりました。

番号が割り振られた大きな機械
トレイメイク自動化システム

「安心安全なお食事を時間通りにお届けすることが我々の使命です」とおっしゃっていましたが、具体的にどのような取り組みを行っているのか教えてください。

食事は患者さんや施設利用者の方一人一人に違うものが提供されます。
もし誤配膳によって違う食事が提供されることは、最悪生命にかかわる事であり、重大なインシデントと認識されています。
ですから、ご配膳を防ぐことは我々の最優先事項の一つです。

また、食事の提供時間も厳格に管理しています。
食事の時間から逆算して投薬の時間が決まることと、患者さんにとって食は生活のリズムを整えてくれる唯一と言って良いほど、大切なものとして認識されています。

自動化システムは、安心安全なお食事を時間通りにお届けすることにおいて、大きな効果を発揮しています。

「トレイメイク自動化システム」とはどのようなシステムですか?

このシステムは約3年間にわたりパナソニックコネクトと共に開発しました。
開発チームは現場に入り込み、徹底した調査・分析を行うことからプロジェクトをスタートさせました。運用が開始された現在でも、さらなる改善のために継続してコミュニケーションを続けています。

プロジェクトが進む中で、さまざまな課題に直面しましたが、互いに尊重し合いながら協力してこれらの課題を乗り越えてきました。この協力関係が、現在の成功に繋がっていると感じています。

すでに開発目標通りの省人化が達成できていますが、これは単なる効率化やコスト削減だけではありません。
社長は現場のことをよく考えてくれており、安心安全というのは従業員に対するものでもあります。人が人らしくやりがいを持って働けることを大切にしており、機械でできることは機械に任せ、人にしかできないことは人がやるという文化が会社に根付いています。

今後の展望についてお聞かせください。

1996年の規制緩和により院外調理が可能になったことを契機に、2000年に新業態として完全院外調理サービスを提供し始めました。私たちは常に挑戦を続け、特に関西では広く知られ利用されていますが、関東ではまだあまり知られていません。

本システムを皮切りに、自社工場の自動化や新設を加速させ、完全院外調理の全国展開を目指しています。
また、私たちはコンサルティングサービスも提供しています。
日本の労働人口の減少と共に人手確保がますます困難になることが予想されているので、サービスの提供だけでなく、これまでセントラルキッチンの運営や自動化システムの開発で培ってきたノウハウや知見を活かし、病院や施設とウィンウィンの関係を構築して、さらなる挑戦や成長を続けていきたいと考えています。

インタビューにご協力いただきありがとうございました!

企業プロフィール

企業名株式会社第一食品
所在地(本社)東大阪市高井田本通4-1-5
(相模原工場)相模原市中央区田名3119-9
設立1972年(昭和47年)10月
代表者代表取締役社長 小宮 仁
資本金5,000万円
従業員数933名
事業内容病院、その他福祉施設の給食
産業給食(社員食堂・社員寮)
学校給食(小学校・中学校・大学)
給食業務に関するコンサルティング
URLhttps://www.dfcn.co.jp/
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