調剤ロボット導入で薬剤師の業務改革!
コミュニケーション時間の創出と補助金活用の成功事例
株式会社メディリンク(本社:相模原市南区)は、相模原市に 2 店舗、大和市に 1 店舗、計 3 店舗の調剤薬局を運営する地元事業者。
今回、相模原市「産業用ロボット導入補助金」を活用し、調剤ロボットを導入。これにより、薬剤師の業務効率化と患者対応の質の向上を実現しました。
今回、散薬調剤ロボットを導入した「アリス薬局 相模大野店」を訪問し、同社代表取締役社⾧の大谷真弘氏と店舗で働く薬剤師の皆さんに、その変化についてお話を伺いました。
厚生労働省が2015年に「患者のための薬局ビジョン」を発表し、調剤薬局の役割が大きく変化していると伺いました。この変化に対し、どのような課題意識をお持ちでしたでしょうか?
「患者のための薬局ビジョン」が示す通り、これからの薬局は単に薬を調剤するだけでなく、患者様一人ひとりに寄り添い、より質の高い情報提供やサポートを行うことが重要になると強く感じておりました。
しかしながら、従来の調剤業務は手作業が多く、特に散薬の調剤には時間と労力がかかっていました。薬剤師が患者様と向き合う時間を十分に確保するためには、業務効率化が不可欠であると考えておりました。

そもそも調剤業務とは、どのようなことをしているのですか?
薬剤師は、処方箋を受け取った後、処方内容を確認し、必要な情報を患者から聞き取ります。
その後、過去の服薬歴を確認し、必要に応じて医師に確認(疑義照会)を行ったうえで調剤を開始します。
調剤後は、薬や説明書の内容に誤りがないかを再確認し、患者に正しい服用方法を説明して薬を渡します。

散薬(粉薬)が出てくるまでの流れは次のようになります。
- 処方箋監査(処方内容の確認、疑義照会)
- 薬剤の選定・ピッキング
- 用量の正確な計量
- 混合(ムラなく均一に分散・混合する作業)
- 分包(服用する分量ずつ分ける作業)
- ラベル貼付(内容物や服用方法を明記)
- 最終監査
従来は、これら全ての工程を薬剤師が機械や器具を用いながら、ひとつひとつ手作業で行っていました。専門性と正確性が求められ、熟練も必要な負担の大きい業務でありました。
散薬調剤ロボット「MiniDimeRo(ミニディメロ)」を導入された決め手は何でしたか?
体調が優れない患者さんが少しでも早く薬を受け取って帰りたいという思いに応えるため、迅速な調剤体制を構築する必要があったこと、
また、特に感染症の流行期には、患者さんの待合室での滞在時間を短縮し、感染リスクを低減する必要がありました。
これらの課題を解決するため、ユヤマ社製の散薬調剤ロボット「MiniDimeRo(ミニディメロ)」を導入しました。
処方データを入力するだけで、薬剤の選択、計量、混合、分包までを全自動で行うことができます。
このロボットの活用により、人的ミス(薬剤の取り間違いや秤量間違い)を防ぎ、映像やデータによるトレーサビリティも実現しました。さらに、すでに導入済みのシロップ調剤機と同時に活用することで、散薬とシロップ剤を並行して調剤することが可能となり、作業効率が大幅に向上しました。


(右:アームが散薬カセットを取り出している様子)
散薬調剤ロボット導入後、薬剤師の皆様の業務にはどのような変化がありましたでしょうか?
薬剤師 A 氏:ロボット導入によって、気持ちに余裕が生まれたことが一番大きな変化です。以前は、処方箋監査に時間をかけたいと思っても、その後の調剤作業が控えていると、どうしても焦ってしまいがちでした。
しかし、今では「このあと(処方箋監査のあと)は、ロボットが自動でやってくれる。」という安心感があるため、これまで以上に時間をかけて丁寧に処方箋の内容を確認できるようになりました。_
この心のゆとりが、患者様とのコミュニケーション時間を生み出すことにも繋がっていると感じています。
薬剤師 B 氏:薬の受け渡しについても、以前に比べて患者さんの表情や様子を観察する余裕が生まれました。
調剤作業に追われることがなくなった分、患者様一人ひとりに合わせた“伝え方”を工夫することに時間を割けるようになったと感じています。
例えば、小さなお子様には、薬を嫌がらずに飲んでくれるような工夫を凝らした説明をしたり、成人の方には、副作用の可能性などを正確に、かつ分かりやすくお伝えしたりしています。
薬の伝え方一つで、患者様が薬に対して恐怖心を抱いてしまい、服用をやめてしまうこともあるため、安心して服薬していただけるように、丁寧な説明を心がけています。
大谷社⾧:薬剤師たちが、より患者様に向き合う時間を確保できていることを大変喜ばしく思っています。特に、流行期などによく処方される薬は、私たち薬剤師は何千、何万回と説明している内容かもしれません。しかし、目の前にいる患者さんにとっては、初めて聞く内容であることがほとんどです。ロボット導入によって、我々の気持ちに余裕が生まれたことで、そうした基本的な情報も、患者様一人ひとりにしっかりと丁寧に説明することができるようになり、患者様の安心と満足に繋がっていると感じています。
ロボット導入までの流れについて
補助金などの情報は一通り探索し、市の補助金について知りました。ロボットというと工場で活躍しているイメージでしたが、今回、製品
名に“ロボット”とついていたので、問い合わせてみたところ、柔軟に対応してもらえました。

相模原市の産業支援・雇用対策課担当者は、「工場などで稼働する産業用ロボットももちろん対象ですが、今回のように製造業以外の事業者の方にもご活用いただける可能性のある補助金です。」と語っていました。
幅広い市内事業者の生産性向上のために
相模原市では、2015 年より産業用ロボット導入補助金制度を設け、市内においてロボット等を導入し、生産性の向上を図る事業者を支援しています。
補助金を活用し導入ハードルを下げることで、今回のように調剤業務の効率化だけでなく薬剤師の働き方を変え、患者満足度の向上に貢献することができます。
「自分の会社でも活用できるのでは?」と悩んでいる方は、まずはお気軽に相模原市の産業支援・雇用対策課にご相談ください。
インタビューにご協力いただきありがとうございました!
企業プロフィール

企業名 | 株式会社メディリンク |
所在地 | アリス薬局(相模原市南区南台 5-10-30) アリス薬局 相模大野店(相模原市南区相模大野 8-8-16) まごころ薬局(大和市中央林間 5-4-1) |
設立 | 1960 年(昭和 35 年)7 月 |
代表者 | 代表取締役 大谷 真弘 |
事業内容 | 調剤薬局 |
URL | https://www.alice-pharmacy.com/ |
※相模原市「令和5 年度 産業用ロボット導入補助金」活用企業