ロボット企業インタビュー記事企画
「歴史を紡ぎ、未来を創る」
さがみロボット産業特区である“相模原市”で最先端の“ロボットビジネス ”を行う企業におもむき
その歴史と、ロボット・自動化の今について伺いました。
第1回はこちらからご覧いただけます。
https://industry.city.sagamihara.kanagawa.jp/cat_info/sagamihara-robot/
第2回 過去から未来へ、進歩する技術─愛知産業が築く自動化の明日
老舗企業である愛知産業株式会社。最新技術と日本のものづくりを融合し、産業現場に新たな価値を提供しています。自動溶接装置や金属3Dプリンターなどの最新技術を駆使しながら、効率化と高品質を追求する同社について伺いました。
【会社概要】
愛知産業株式会社
代表取締役社長 井上 博貴
住所(相模原営業所) 相模原市南区大野台4丁目3番15号
企業ホームページ https://www.aichi-sangyo.co.jp/index.html
愛知産業株式会社について
弊社は品川に本社を置く企業で、戦後まもなく経済成長期に設立され、もうすぐ90周年を迎えるところです。
8年前から相模原市大野台のSia神奈川工業団地内にエンジニアリング本部を置いています。
エンジニアリング本部では主に自動溶接装置やロボット、その他 設備の設計、加工、組み立て、試運転、調整を行っています。
本社の事業である世界の最先端技術を輸入販売する商社としての面を活かし、世界の技術を組み込んだ設備を提供できるのが強みです。
自動化設備の提案はお客様次第
自動化をすることで作業のばらつきを減らし、品質を安定させることができるため、効率の向上と生産性の維持が可能です。
提案するシステムはお客様によって全く違い、困っている具体的な作業を持ち込まれて、それを一度こちらで試運転し、自動化の可能性を確認。結果を基に、お客様に最適な自動化設備を提案します。
しかし、機械が入り込めない部分や、現場の作業者の技能を完全に再現するのは難しいこともあり、設備全てではなく部分的な自動化を提案することもあります。
人の技術に近づく、進歩する世界の先端装置
自動化の要望として、最近は研削研磨作業が特に増えています。
この作業は、人の手で一日中行うと手や耳、喉にも影響が出るため自動化が求められます。
研削装置に関しては、30年前から自社で開発をしているAKグラインダーという製品を標準機としています。
最近ではプッシュコープの製品を取り扱い始めましたが、かなり人の技術に近づきつつあると感じています。
このほか自社で長くノウハウを蓄積し研究してきた自動溶接装置も他社には負けません。また商社として取り扱っている、他にはない最新の装置やシステムを活用出来ることも大きな強みです。
進化する3Dプリンター技術
金属3Dプリンターによる造形技術も進歩しています。
金属の粉末にレーザーを当てて積層造形を行う技術や、溶接ワイヤーを用いて造形を行う技術など、さまざまな方法が開発されており、複雑な形状の部品を高精度で製造することが可能となりました。
金属3Dプリンターで造形された製品の表面を研磨することで、滑らかで高品質、耐久性の問題なども改善された、より実用的な製品を提供できるようになってきました。
複雑な形状の部品を一つの工程で製造することができ、製造プロセスの効率化が図られています。
“さがみロボット産業特区 相模原”で地域と連携
相模原市はさがみロボット産業特区であり、補助金や交流会の機会が多く展示会やイベントもあり技術交流が盛んです。実際にアイダエンジニアリング㈱ や三菱重工業㈱ をはじめ、いくつかの市内企業とはお仕事や技術的な相談を行うなど密な連携をとっています。
またこの先、相模原市内にリニア中央新幹線が開通すれば名古屋まで60分ほどで到着できるようになります。
関西や名古屋の営業所など国内数か所にある営業所への移動時間の短縮化や、新たな顧客開拓に向けて繋げてくれることを大いに期待しています。
歴史を紡ぐ愛知産業株式会社
今後は、弊社では過去に主力となっていた原子力関連の設備に再び注力し、保守点検用の設備提供を増やしていく計画です。現在、原子力発電所向けの技術を持つベテラン社員が少なくなってきているため、若い世代にこの技術を伝えていくことが重要です。
また自動化技術を活かし、特に、ティーチングロボットやAIを活用したプログラミングの簡素化に力を入れ、より使いやすいシステムの開発にも注力しています。
我々の目標は、最先端技術を取り入れた設備を提供し続けることです。新しい技術を取り入れた自動化システムを開発し、効率的な生産プロセスを実現することで、お客様のニーズに応えていきます。
さがみはらロボットビジネス協議会 企業情報
愛知産業㈱ページ
https://www.sagamihara-srbc.com/company-info/aichi-sangyo
長い歴史と最先端技術でロボット産業に革新を起こす愛知産業。その歴史と新たな技術へ向かう挑戦は、相模原市の目指す「ロボットのまち さがみはら」を体現しています。
次回は、食品業界の自動化ソリューションに力を注ぐアルトリスト株式会社に迫ります。