《相模原市内ロボット企業インタビュー企画》第5回 110年の歴史が支える技術力_榎本機工株式会社

《相模原市内ロボット企業インタビュー企画》第5回 110年の歴史が支える技術力_榎本機工株式会社

ロボット企業インタビュー記事企画
「歴史を紡ぎ、未来を創る」

さがみロボット産業特区である“相模原市”で最先端の“ロボットビジネス”を行う企業におもむき
その歴史と、ロボット・自動化の今について伺いました。

第4回はこちらからご覧いただけます。
https://industry.city.sagamihara.kanagawa.jp/cat_info/sagamihara-robot-4/

第5回 110年の歴史が支える技術力_榎本機工株式会社

スクリュープレスの国内ほぼ唯一のメーカーとして、自動車部品や風力発電用ボルト、耐熱レンガの製造など、長い歴史の中、多岐にわたり活躍する榎本機工株式会社。時代の変化を見据え、自動化設備設計にEV部品への進出、さらにはアジア・中南米市場の開拓など、新たな挑戦を続けています。

榎本機工株式会社の外観写真

【会社概要】

榎本機工株式会社
代表取締役 CEO 榎本良夫
住所 相模原市緑区町屋1-1-5
企業ホームページ https://www.enomt.co.jp/

腕を組み笑顔でこちらを見る榎本さん
代表取締役 CEO 榎本良夫さん

榎本機工について

榎本機工は、世界のトップに並ぶスクリュープレス製造メーカーです。
スクリュープレスの対応品としては自動車エンジン部品やトラック部品をはじめ、風力発電用ボルトや耐熱レンガの製造など幅広い分野に取り組む老舗企業です。創業から110年以上が経つ弊社は、ものづくりの現場で培った経験と技術をもとに、長期的な視点で事業展開を続けています。他社が断る案件でも、私たちは諦めず挑戦します。

工場内の様子1
工場内の様子2

内製化で生み出す価値

榎本機工の強みは、自社で設計から製造までを一貫して行える「内製化力」です。これにより、顧客の細かいニーズに応える柔軟性と、高品質な製品の供給を実現しています。
作り出す製品によりスクリュープレスに求められる事も変わってきますが、全てを「内製化」することで、特殊でニッチな市場にも対応が可能。弊社の最新のサーボシステムを採用したプレスは、従来の機械に比べて50%の消費電力削減を実現。環境負荷を軽減しつつ、高精度な製造を可能にしています。

また自動化設備設計にも対応しており、ロボットメーカーが対応を断るような高速で複雑な動作要求に対しても独自の技術で応えています。
多関節ロボットでなくとも対応可能な簡易的なシステムを設計するなど、現場に最適化された設計が特徴です​。

そもそも、スクリュープレスは日本国内で製造する企業が減り、現在では私たちがほぼ唯一の存在となっています。
おかげさまで弊社は、スクリュープレスという狭い市場に深く入り込み、大手企業との競合を避けつつも専門性を長い間発揮することが出来ており、技術力は国内外の顧客から高い評価を得ています。

円形の加工品
加工品1
円と棒が組み合わさった加工品
加工品2

時代の変化を見据えた新たな挑戦

部品加工は時代によって大きく変貌していきます。昭和30年代には、腕時計のケース製造が当社の主力客先の一つでした。
特にチタン製のケースは、スイスの高級時計ブランドにも採用され、私たちの技術が国際的に評価されました。培った技術は、現在の自動車部品やその他の精密加工にも活かされています。

そして現在、EV(電気自動車)の普及を背景に、自動車部品の需要が変化してきています。
次世代の部品開発や新市場への参入を見据えた準備を進めており、食品加工機械などの新分野にも挑戦しています。

また、海外市場への進出も積極的に行っています。
特にインドやインドネシアをはじめ、アジア・中南米での展開に注力。現地で研修生を受け入れ、技術を教えた後、母国に戻ってからも支援する仕組みを構築しながら海外販路の拡大を進めています。
今後は、より大きな市場としてアフリカへの展開も視野に入れております。

“さがみロボット産業特区 相模原”で地域と連携

相模原市は地理的条件や物流インフラが整っており、倉庫や工場の効率的な運営に適しています。また、災害リスクが比較的低いため、製造拠点としての安定性があります。地域には金属加工や部品製造の企業が集積しており、調達や連携が容易です。

110年の歴史は、地域と共に築いてきたものです。これからも地域と共に未来を歩みたいと考えています。

機械の前でインタビューを受ける榎本さん

110年の歴史が支える技術力

ものづくりは日本社会を動かす力です。その力を次の100年に繋げたい。技術の継承こそが、次世代のものづくりを支える鍵です。
現場で働く者の高齢化が進んでいる昨今では、金属の硬さを見極める感覚や、精密な組み立てを行う技術など、職人特有の技能を次世代に継承することを重要視しています。

そのため弊社では、社員向けの研修プログラムや社内でのロボットコンテスト等の技能競技会を実施し、人材育成に力を入れています。

さがみはらロボットビジネス協議会のロゴ

榎本機工株式会社 企業情報ページ
https://www.sagamihara-srbc.com/company-info/enomoto-machine

スクリュープレス技術を軸にものづくりの進化を支えてきた榎本機工。
時代の変化とともに事業領域を拡大し、新たな市場へ挑戦する姿勢は、相模原市が誇る技術力の象徴でもあります。

次回は、若手エンジニアが最前線で活躍し、ロボット技術の未来を切り拓くベンチャー企業、クフウシヤを特集。自律移動ロボットや災害対応ロボットの開発を通じ、社会に貢献する挑戦に迫ります。
https://industry.city.sagamihara.kanagawa.jp/cat_info/sagamihara-robot-6/

トップに戻る