【さがみはらロボットビジネス協議会】連携事業の紹介(F-Design×R2)

【さがみはらロボットビジネス協議会】連携事業の紹介(F-Design×R2)

さがみはらロボットビジネス協議会(以下、ロボ協)の会員、F-Design(相模原市緑区西橋本)は、同じ会員である韓国発祥ベンチャーのR2(横浜市中区)と連携し、市場拡大が期待される「遠隔操作ロボット」の分野に乗り出しました。

飲食店や企業での人手不足を追い風に、現在は自律型ロボットが普及しつつありますが、使用環境が限定されています。そこで注目されているのが遠隔操作ロボットです。
遠隔地にいる人間が、ロボットから視覚や聴覚の情報を得て操作することで、自律型ロボットに不具合があった際の対処が可能なだけでなく、細かな動きや作業ができるようになると期待されています。
とはいえ、遠隔で大きなネックになるのが通信速度です。

画面の向こう側にいるロボットの映像伝送が1秒でも遅ければ、精密な操作ができなくなります。その点、R2は「超低遅延」の通信技術を持っており、これにF-Designのロボット技術が組み合わさり、優れた遠隔操作ロボットが実現しました。

得意分野を持ち合わせて遠隔ロボット市場の分野に乗り出した、F-Designの藤本社長と、R2の李社長にお話を伺いました。

F-Designの藤本社長と、R2の李社長

段差も難なく

──F-Designは自動車関連のメカや構造の開発支援企業として設立されましたが、近年はロボット開発にも注力されているそうですね。

藤本氏:はい。特に、当社オリジナルの「汎用ロボットベース」は、首都圏の優れた企業・団体を表彰する「九都県市のきらりと光る産業技術」にも選ばれるなど、注目を集めています。

──「汎用ロボットベース」の特徴について教えていただけますか?

藤本氏:このロボットベースは、自動車のサスペンション技術を応用したことで、段差の走行を得意としています。
段差走行は従来の自動走行ロボットにとって難点でしたが、当社のロボットベースは衝撃や振動を吸収できる設計のため、最大30mmの段差も乗り越えることができます。

また、ロボットベースと名の付く通り、様々な用途に応じてカスタマイズできるのも強みです。
開発期間や費用の削減にも繋がるため、ゼロからロボットを設計するよりも、圧倒的に効率化できます。

0.1秒以下で送受信

──R2は韓国発の超低遅延通信技術を日本市場に提供するために設立されたそうですね。

李氏:はい。ロボットをリアルタイムで遠隔操作するには、従来の技術では遅延が課題となっていました。
そこで、当社はWebRTCサーバーの「Spider」と独自開発したプロトコルによるRSSPサーバー「Moth」を組み合わせることで、従来の10倍以上速い「0.1秒以下」での送受信を実現しました。
この技術により、日本国内はもちろん、東京─シンガポール間でも、ロボットの精密な遠隔操作が可能になります。

今後の市場拡大に期待

出会いと協業のきっかけ

神奈川県相模原市のインキュベーション施設に拠点を置くF-Designと、韓国発の超低遅延通信技術を持つR2は、ロボ協の交流会で出会いました。

F-Designの藤本恵介社長は、「R2の遠隔操作技術と当社のロボット技術を組み合わせれば、何か面白いことができるはずだ」と直感し、協業を提案。R2の李赫CEOもそのアイデアに共感し、両社は正式に協業することに合意しました。

市民イベントで話題を呼んだ遠隔操作ロボット

協業の第一弾として、2023年12月に市内の商業施設「アリオ橋本」で開催された市民向けロボットイベントに、遠隔操作ロボットを出展しました。

このロボットは、福島県南相馬市にあるF-Designのロボットベースを、R2の通信技術を使って遠隔操作するというユニークなものでした。子どもたちは、まるで南相馬にいるかのような感覚でロボットを操作し、大いに盛り上がりました。

李氏は、
「これからのロボットは遠隔操作が必須になると思っています。市場はこれから広がります」
と期待を寄せています。

今後は観光地で活躍するロボットやインフラ点検ロボット、遭難者
探索ロボットなど、あらゆる用途を見込んでおり、両者の協業は一段と加速しそうです。

企業情報

株式会社F-Design
https://industry.city.sagamihara.kanagawa.jp/company/sgm-15/

株式会社R2
https://remoterobotics.co.jp/

さがみはらロボットビジネス協議会(SRBC)

相模原市では、ロボットをテーマとしたビジネスの推進を多面的に支援するため2014年に「さがみはロボットビジネス協議会」を設立しました。中小企業、大学等研究機関、金融機関、行政や支援機関で構成し、ロボットビジネス推進のための地域のプラットフォームとして、ロボット産業の振興や起業のビジネス支援に取り組んでいます。

https://www.sagamihara-srbc.com/information/jirei

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