《相模原市内ロボット企業インタビュー企画》第6回 未来を創るロボット技術へ挑戦_株式会社クフウシヤ

《相模原市内ロボット企業インタビュー企画》第6回 未来を創るロボット技術へ挑戦_株式会社クフウシヤ

ロボット企業インタビュー記事企画
「歴史を紡ぎ、未来を創る」

さがみロボット産業特区である“相模原市”で最先端の“ロボットビジネス”を行う企業におもむき
その歴史と、ロボット・自動化の今について伺いました。

第5回はこちらからご覧いただけます。
https://industry.city.sagamihara.kanagawa.jp/cat_info/sagamihara-robot-5/

第6回 未来を創るロボット技術へ挑戦_株式会社クフウシヤ

ロボット技術の最前線で若いエンジニアたちが、自律移動ロボットやフィジカルAIの開発を手がけている株式会社クフウシヤ。南相馬市の福島ロボットテストフィールドでの実証実験や、相模原市の企業との連携を活かしたものづくりで、新たな市場の開拓にも挑戦しています。

株式会社クフウシヤの外観

【会社概要】

株式会社クフウシヤ
代表取締役 大西 威一郎
住所 相模原市中央区淵野辺本町3-1-9
企業ホームページ https://www.kufusha.com/

インタビューを受ける大西社長
代表取締役 大西 威一郎さん

クフウシヤについて

クフウシヤは創業10年目のベンチャー企業で、自律移動ロボットや協働ロボットの開発を行っています。平均年齢28歳と、若いエンジニアたちが最前線で活躍する組織です。
相模原市と福島県南相馬市の二か所を拠点としながら、ロボット制御工学やAI、ROSといった最先端技術を駆使し、ソフトウェアとハードウェアの両面で、ニッチな市場に特化したサービスロボットを開発しています。

技術開発は、やっていて楽しいものでなくてはいけません。売上や利益も大切ですが、それ以上に私たちは“開発を楽しむ”ことを大事にしています。新しい技術を生み出す過程そのものが私たちの原動力です。

階段を昇降するロボット

階段昇降ロボットと災害対応ロボット

クフウシヤの独自性を象徴する製品の一つが「階段昇降ロボット」です。
このロボットは、住宅や商業施設などの階段が多い環境でも、自律移動で清掃や点検、警備、運搬等を自動化できるように設計されています。
特許を取得した制御システムにより、傾斜角度を自動調整しながらスムーズに昇降することが可能です。

さらに、World Robot Summitへの出場を契機とする災害対応ロボットの開発では、福島県南相馬市に整備された福島ロボットテストフィールドでの実証実験を通じ、地震や水害などの被災地での迅速な対応を目指しています。
このプロジェクトでは自治体や大学とも連携し、現場での具体的な課題に基づいた開発を進めています。

四つ足の生き物のようなロボット

AI技術への対応と自社製品の拡大

ROSやSLAMなどを基盤とした技術を進化させつつ、次のステップとしてAIやシミュレーション技術の導入に積極的に取り組んでいます。
AI技術を取り入れることで、サービスロボットのさらなる高性能化が可能となり、自社技術の販売拡大と新分野への進出を目指しています。

また同時に、当社オリジナルの四脚ロボットおよびヒューマノイドロボットの開発に関する取り組みを強化し、大手企業とのコラボレーションによって新たな市場開拓を進めています。

南相馬市内企業と共同開発中の災害対応ロボット「MISORA2」
福島ロボットテストフィールドでの実証実験の様子

南相馬市での取り組み

福島県は、東日本大震災からの復興と新たな産業の創出を目指して、南相馬市に「福島ロボットテストフィールド」を整備しました。クフウシヤはこのテストフィールドを活用し、ロボットの実証実験を行っています。

実証では、瓦礫の中を自律的に移動して状況を把握するロボットや、人が立ち入れない危険なエリアで作業を代行するロボットのテストを実施。災害現場での運用に向けたデータを蓄積し、改良を重ねています。

笑顔でロボットを持つ大西さん

“さがみロボット産業特区 相模原”で地域と連携

相模原市には、金属加工や部品製造に特化した中小企業が数多く存在しています。例えば、特注部品の製作を地元の企業に依頼することで、迅速な対応とコスト削減を実現できると考えています。
事例としては、地元のものづくり企業と共同で未だ世の中にない特殊なロボットの試作開発に取り組んだこともありました。
他にも、相模原市内企業との交流から清掃ロボットの開発に至ったこともあり、地域との連携は、技術開発に欠かせない要素です。

また、相模原市の小学校において、ロボットを活用したワークショップも実施。子どもたちにものづくりやロボット開発の魅力を伝えるとともに、次世代のエンジニア育成につながる取り組みとして参加しています。

万博特別モデルのAIスーツケースのイメージ

未来を創るロボット技術の挑戦

岸田前首相の前で実演を行った自律移動ロボットの成功や、大手企業との共同開発や新規市場開拓など、クフウシヤは少しずつ、しかし着実に、実績を積み上げています。

特に最近では、日本科学未来館と開発したAIスーツケースは2025年の大阪・関西万博での実証が予定されています。このロボットは、視覚障害者や身体に不自由のある方をサポートすることを目的に設計されており、会場内の案内を担うことが注目されるかもしれません。

若いメンバーと力を合わせて、変化の激しい市場においてもニッチ技術で競争優位を持ちながら、他社では実現できないロボット開発を追求していく。将来的には、ロボット開発を通じて人々の生活を豊かにすることを目指しています。

さがみはらロボットビジネス協議会のロゴ

株式会社クフウシヤ 企業情報ページ
https://www.sagamihara-srbc.com/company-info/kufusha

クフウシヤが掲げるのは、「開発を楽しみながらQOLを高める」こと。
若い世代の情熱と高度な技術力を武器に、自律移動ロボットの可能性を広げ続けています。地域と連携しながら進化を続けるクフウシヤの挑戦は、相模原市のロボット産業に新たな価値をもたらしています。

次回、最終回では、地域企業をつなぐ「さがみはらロボットビジネス協議会」の取り組みや、相模原市におけるロボット産業政策の目指すべき姿と今後の方向性に迫ります。
https://industry.city.sagamihara.kanagawa.jp/cat_info/sagamihara-robot-7

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